コロナ禍における働き方改革を考える(アドバイザー木村薫氏)

 街中では緊急事態宣言が解除されて、ようやく児童や生徒たちが戻ってきた。これまでのような活気ある日常になりつつある。また、様々な活動が自粛されていたが、徐々に段階を踏みながら、再開してきてはいる。

しかしながら、私が関与している観光バス事業者や飲食関係事業者をはじめとする中小企業は、まだ先の見えない厳しい経営環境に直面したままである。企業によりバラツキはあるものの、当初は、バス事業、飲食事業などのサービス関係の業種が影響を受けていたが、最近は製造業にも及んできており、あらゆる業界においてコロナ禍により苦戦を強いられている。

現在は、緊急避難的な助成金として、雇用調整助成金小学校休業等対応助成金などが拡充されて国から支援がなされている。6月12日からの変更では、休業手当金の助成額の上限額が引き上げられて、解雇などがない場合は日額15,000円までは100%会社負担なしで、助成がなされることが決定された。会社としては、雇用の維持に最大限注力をしていただきたいと思う。

このような状況下において、企業がいかにこの難局を乗り越えていかなければならないか。また、コロナ後を見据えて、どのような対応を図っていかなければならないかを、働き方改革の視点から考えてみたいと思う。

まず、昨年から始まった働き方改革による法改正が順次実施されている。昨年4月からは有給休暇5日間の確実な取得制度が開始され、今年4月(中小企業が対象)からは時間外労働の上限規制が適用された。このような法改正に伴って、企業側が制度導入を促進するために働き方改革推進支援助成金が設けられている。その中の2コースを紹介する。


まず1つ目は、テレワークコースである。コロナ感染症の対策として、各企業においてテレワークが急速に普及しつつある。東京周辺の企業においては、通勤時や勤務場所における三密を避けるために、テレワークに切り替えている企業がテレビや新聞等で紹介されている。このような取組に対して、国も助成金制度を設けて普及を支援している。テレワークコースの概要は次のとおりである。

(1) テレワーク用通信機器の導入・運用
(2) 就業規則・労使協定等の作成・変更
(3) 労務管理担当者に対する研修
(4) 労働者に対する研修、周知・啓発
(5) 外部専門家(社会保険労務士など)による導入のためのコンサルティング

上記の取組に対して要した費用を助成するものであり、最大補助率3/4、上限額300万円である


次に勤務間インターバル導入コースについてである。この助成金は、次の取組を対象にしている。
(1) 労働能率を増進するため設備・機器等の導入
(2) 労務管理用機器やソフトウェアの導入
(3) 外部の専門家によるコンサルティングの実施など

これらの実施により、勤務終了後次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設けることで従業員の健康保持や過重労働の防止を図ることを国が推奨しているものである。この取組に対しては、補助率は 3/4、上限額100万円である。


このように、コロナ禍の状況により、日常の勤務形態が急激に変化していくことは間違いないと考える。また、新しい産業や企業が興ってくるであろう。このような時代だからこそ、ビジネスチャンスととらえる新興企業が出てくるものと期待したい。また、企業はこのような環境の変化に対応していかなくてはならない。働き方改革における法律改正をいち早く取り入れて、会社の運営をしていく必要がある

そして、コロナ後の企業活動に支障がないように今から人材を育んで配置していくことが必要である。企業にとって一番重要な経営リソースは人材である。優秀な人材を確保しておくことが、コロナ後の企業飛躍にとって欠かせないのである。また、今後の企業運営を考えた場合には、テレワーク助成金などを活用して、人材活用の手立てを考える必要がある。

このようにピンチをチャンスに変えることが企業には求められているのである。このチャンスを生かせる企業が生き残れることを経営者は考えていただきたい。

今回のコロナ禍は、今後の産業の在り方、また企業での働き方を加速度的に変える機会になるであろう。中小企業の経営者は、このコロナに対して決して悲観的になるのではなく、ポジティブに捉えて今後の経営を行っていただきたい。我々茨城働き方改革推進支援センターでは、支援を求める企業に対して惜しみなくわれわれの経験や知見を生かして協力していく所存である。我が国の経済を支えているのは、数多くの中小企業である。その中小企業が発展しない限り、わが国の発展はない。どうか、中小企業がこの危機を乗り越えて、さらなる飛躍をしていくことを強く望む次第である。


茨城働き方改革推進支援センター 木村薫氏

茨城働き方改革推進支援センター
木村薫氏

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特定社会保険労務士医療労務コンサルタント

社労士として、長年にわたり助成金業務に強みを発揮して、これまでに累積300社を超える企業の業務に携わり、獲得助成金は1億円以上の実績を残している。また、就業規則関係においても、250社以上の会社に関わっており、助成金業務とともに得意分野になっている。そのほか、入社から退社までの手続から、老齢・障害年金、労災、給与計算など総合的に中小企業の労務管理に関わっている。また、茨城県内のトラック協会、医師会、商工会議所他各種団体から労務管理をはじめ助成金まで幅広い講演依頼が多数ある。主に茨城県内の企業への関与が多数を占めている。経営者の相談に真摯に対応するなどきめ細かな活動で、顧問先企業からの信頼が厚いのも特徴である。

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