令和3年度 業務改善助成金

業務改善助成金の申請について概要をまとめてみました。申請にあたり、間違いやすいポイントや注意点などまとめております。難易度の評価もしておりますので申請時の参考として頂けますと幸いです。

1.助成金のコース

令和3年度 業務改善助成金

2.助成金の概要

業務改善助成金は、事業場内の最低賃金を引き上げるとともに、生産性向上につながる設備投資等を行う事業主に対して、設備投資に要した費用の一部を助成する助成金になります。

3.助成金の金額

 助成金の金額は次の表のとおりです。

(※1)10人以上の上限額区分は、以下のいずれかに該当する事業場が対象となります。

  • 賃金要件:事業場内最低賃金900円未満の事業場
  • 生産量要件:売上高や生産量などの事業活動を示す指標の直近3ヶ月間の月平均値が前年又は前々年の同じ月に比べて、30%以上減少している事業者

(※2)ここでいう「生産性」とは、企業の決算書類から算出した労働者1人当たりの付加価値を指します。助成金の支給申請時の直近の決算書類に基づく生産性と、その3年度前の決算書類に基づく生産性を比較し、伸び率が一定水準を超えている場合等に、加算して支給されます。

4.受給までの流れ

 労働局へ書類を複数回提出することになりますので、お気を付けください(下記手順1、5、8、10)。なお、最低賃金引上げ等の計画に変更等が生じた場合等において、下記手順以外にも追加書類の提出が必要になる場合があります。

  1. 交付申請書等を労働局へ提出(令和4年1月31日まで)
  2. 労働局にて審査(目安として1ヶ月程度)
  3. 労働局から申請事業主に交付決定通知書または不交付決定通知書を交付(不交付の場合は1の手順に戻る)
  4. 事業場内最低賃金の引き上げ及び設備投資(費用の支払いを含む)を実施する(令和4年3月31日まで)
  5. 事業実績報告書等を労働局に提出(手順4の完了から1ヶ月又は令和4年4月10日のいずれか早い日まで)
  6. 労働局にて審査(目安として20日程度)
  7. 労働局から交付額確定通知書を交付
  8. 支払請求書を労働局へ提出
  9. 助成金が支払われる
  10. 状況報告を労働局へ提出(手順8の前日又は事業場内最低賃金を引き上げてから6月を経過した日のいずれか遅い日から起算して1月以内)

5.必要となる法定帳簿等

 交付申請書や事業実績報告書等に添付することが必要な書類がありますので、これらについても用意する必要があります。なお、和歌山県以外では下記と異なる場合があります。

  • 相見積書
  • 購入品のカタログ・パンフレット等、購入品の詳細が分かる資料
  • 賃金台帳の写し(最低賃金引き上げの対象となる労働者分)
  • 出勤簿やタイムカードの写し(最低賃金引き上げの対象となる労働者分)
  • 時間あたりの賃金額を算定するために必要な資料(会社カレンダーなどの年間労働日数や年間総労働時間数が確認できるもの)
  • 雇用契約書又は労働条件通知書(最低賃金引き上げの対象となる労働者分)
  • 就業規則の写し(労働者が10人未満で就業規則を労働基準監督署に届出していない場合は申立書の提出でも可)
  • 賃金規程(変形労働時間制を採用している場合)
  • 退職届または雇用保険資格喪失確認通知書(申請前3ヶ月以内に退職した労働者がいる場合)
  • 通帳の写し等、振込口座番号が確認できるもの
  • 申請前チェックリスト

6.申請ポイント

  • ①事業場内最低賃金が900円未満であって、②新型コロナウイルス感染症の影響で生産量や売上高等の直近3か月間の平均値が前年又は前々年と比較して30%以上減少しており、③最低賃金を30円以上引き上げる場合、「乗車定員11人以上の自動車及び貨物自動車等」と「PC・スマートフォン等の端末及び周辺機器の新規購入」に要する費用を助成対象とすることが可能です。
  • 設備投資等は交付決定通知書の発効(受給までの流れ 手順3)後に実施する必要があるため、交付決定通知書の発効前に設備投資をしないように注意が必要です。
  • 一方、設備投資等は事業実施の計画期限内に完了することが必要ですので、(新型コロナウイルスの関係で)受注生産品等の納期が不安定な商品等の場合は、余裕を持った計画とすることをお勧めします。
  • 月給制の労働者について、時間単価の計算に正確性が求められます。特に変形労働時間制を採用している場合は、変形労働時間制の正しい理解が必要になりますので、社会保険労務士等の専門家に助言を求めてもよいでしょう。(なお、和歌山働き方改革推進支援センターでは社会保険労務士の訪問支援を無料で行っておりますので、ご活用ください。)
  • 都道府県によっては、独自の書類提出が必要になる場合がありますので、労働局や社会保険労務士等へあらかじめ問い合わせしておくことをお勧めします。

7.難易度

設備投資等の実施時期に注意が必要であること、時間単価の計算で正確な労働法の知識が必要となること、労働局への書類提出が少なくとも4回は必要であること等から、難易度は5段階中4(5が最も難易度が高い)と評価します。

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